元アイドルの人妻と出会ってしまった


わかりやすい待ち合わせ場所はいくらでもあるはずが、わざわざ安っぽさを象徴するドンキ前という場所に嫌な予感をしていた。
出会い系で知り合った女。
約束の時間になっても35歳主婦らしい姿はない。
教えられた携帯に電話をしてみると通話ができなくなっていた。

バックレられるのはよくあること。たとえ5分前までに電話で会話をしていても待ち合わせ場所に現れるか分からない。
恋人とのデートならば1時間でも2時間でも待てます。

ところだが撮影を希望する素人女性は、時間を10分過ぎても電話が繋がらなかったらまた現れることはない。
すぐに編集長に連絡すると少しだけ時間を過ごしてくれないかと言われた。

高収入求人サイトで24歳の人妻を引っかけたから、そのまま中野にいてくれと。
ただその女は旦那のいる人妻で、元アイドルだって言うんですよね。

CDとかグッズも出したことがあるってなんか気持ち悪いけどお願いします。

中野駅前から元アイドルに電話してあげてJR中野駅南口から自称元アイドルに電話すると女はすぐに電話に出た。
超有名な地下アイドルだった。

「ちょっと遅れちゃって申し訳ありません、あと5分くらいで着きますから。」

「黒のPコートですね、わかりました!」

電話を切ってから5分で現れた地味でも派手でもない綺麗でもブスでもない普通の女。

挨拶をして名前を聞くと、色々いいですかと言った19歳で結婚したこと。
旦那は通販サイト必要なフリーライターであること。
中野駅から徒歩10分くらいの2LDKのアパートに住んでいること。
家賃が115000円であることや家でも旦那ではなく自分が払っていること。
10代の頃アイドル活動をしてそれなりになったこと。

一緒に歩きながら話していた。

話を聞きながら雑踏の中で適当な写真を撮ったが、プロのモデルやアイドルの才能として必要である華やかさはなかった。

一眼レフには少し疲れた24歳の女が刻まれていた。

「インタビューとヌード写真と聞いているけど、どういうインタビューですか?」

素人の女の子が柔有名になりたいと夢膨らませるみたいな感じ?
それともエッチな話をすればいいの?

と黒っぽいことを聞いてくる。

こちらから質問するから自分のことを僕にわかるように話してくれればいいから。

そう彼女に言いファミレスに入った。
色々飲み物とケーキを注文してから、自分の子育てを語り出す。
人柄が明るく嬉しそうだった。

もしも元アイドルというのは事実であって、取材されることで輝いていた昔の自分を思い出していたのかもしれない、と思った。

実家は母子家庭で生活保護、そして貧乏ですよ。
離婚ということで小学3年生の時にお父さんがいなくなった。

自分が結婚した時に戸籍を見たけど苗字が変わっていないから、まだ駄目ですかね。
生活保護と母子家庭だとして7万円くらいもらえるんですよ。

お母さんはずっとパチンコ依存症でパチンコをやっていないと生きていけない人です。
事務所からお金をもらって、すぐ立ちんぼに使い果たしたみたいな感じ。

お母さんは統合失調症だったらですよ。
精神病院に何度も入院していて、とても普通に働ける感じじゃなくて、まだ生活保護で暮らしています。

貧乏ってだけで家事はちゃんとやってくれた。
貧乏でも、小麦粉と水を混ぜて焼いた夕飯だったり。
給料日でも給食費が払えなくなったり。

子供の頃はどう思っていたかな?

他の家と比べて貧乏なんだとわかっていなかったんで、そんな苦ってことはなかった。
レイプされていなかったら違う人生だったかも、、左腕には無数の傷が虚ろな目の元アイドル。

かつては何千人ものファン大注目させた女性が、高収入求人サイトで雇ってくれる風俗店を探していてますから。
お金につられて出会い系の撮影にやってきた、というのは事実のようだった。

リストカットと薬の過剰摂取は必要でした。
死にたい気持ちはさっぱり。
寂しくて構って欲しかっただけ。
コスプレではちやほやされてきたけど、それだけじゃ足りなくて誰かにかまってほしいんだって。
だからリストカットして薬飲んで心配されたかったんだと思う。

夫は大手出版社の社員だったけど私が頭おかしくなって、寂しかったから会社を辞める時間の融通の利くフリーライターになったんですよ。

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